はとごや

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【98点】BUSTAFELLOWS レビュー・感想

レビュー

総合得点 98/100点

シナリオ 10/10 ★★★★★★★★★★
キャラ萌え 10/10 ★★★★★★★★★★
グラフィック 10/10 ★★★★★★★★★★
音楽・ボイス 10/10 ★★★★★★★★★★
システム 9/10 ★★★★★★★★★☆

感想(ネタバレあり)

"あざやかな悪"について

「あざやかな悪に染まれ」という言葉について考えてみる。

作中でメインヒーローのリンボは「何が正義かは、俺が決める」と言っている。正義とは絶対的な概念であるように思えるが、実のところそうではない。誰かにとっての正義が他の誰かにとっては悪であることは往々にしてあることで、絶対的な善や正義はこの世にひとつとして存在しない。むしろ、正義を振りかざすことは悪を貫くことと等しい。正義とはすなわち悪だ。リンボの言う「何が正義かは、俺が決める」とは、絶対的な善悪は存在しないことを理解した上でそれでも自分の信じる正義あるいは悪を貫くという決意なのだと思う。

今作と世界感を共有した過去作のSide Kicks!のテーマは「暴き出せ!──本当の悪を、その真実を」で、Side Kicks!の主人公や仲間達は警察の特別捜索課、つまりは絶対的な正義として悪を暴き出した。BUSTAFELLOWSの主人公や仲間達は"世のため人のため自分のため"法で裁けない悪人を裁き、そのついでに悪人の金を回収している。悪人を裁くのは誰かのためではなく自分のためとすることで、自ら正義(すなわち悪)を行うことに責任を持っている。この対比はとても面白いと思った。

そして、主人公のテウタも、リンボや他の仲間達の決めた正義に乗っかるのではなく彼女自身の決めた正義に従って行動する。彼女の正義のひとつは亡くなった兄に関することだ。ギャングとの抗争に巻き込まれ死亡した兄のことを、テウタは今でも大切に思っている。正義感にあふれ妹に優しかった兄の思い出を大切にし、警官を休職して荒れていた兄も最後まで優しいままだったのだと信じている。そうしたテウタの正義は真相ルートで脆くも崩れることになるのだが、それでもテウタは自分で正義を選ぶことをやめない。「私達は、本当に美しいものを知ってるから」と、あざやかな悪に染まったテウタはこれからも自ら考え、自分の決めた正義(悪)を貫くのだろうと思う。 

シナリオ

なんだかんだ書いたけれど、乙女ゲームとしてすごく楽しかった! キャラクターとしてはリンボが好きで、個別シナリオや恋愛描写はモズのシナリオが好きでした。共通パートがすごく楽しかったからこの倍くらい欲しかった。真相シナリオは描写として必要だったんだろうな~と思うけれど、悲しくやるせない気持ちにはなった。私はテウタがお兄ちゃんの思い出を語るシーンが好きだったんだ……。

特に好きなのは攻略キャラに選んでもらった水着を着るシーンなんだけど、キャラごとに水着デザインが違うのは当然として、彼らがどんな女が好みなのか、女にどのくらいの下心があるのか表現して、水着姿の主人公を可愛いと褒めてくれるのは最高だった。水着の選択規準のメモが限定版特典冊子に書いてあってアフターサポートの手厚さに感動しました。モズの水着チョイスは意外だな~と思っていたけど冊子を読んで納得したと同時にすめらぎ琥珀先生に五体投地でお礼を言いたくなりました。本当にありがとうございます……!

恋愛描写は、事件解決に向けて行動してる間にお互いの過去や抱えてる傷を打ち明けあって支え合ってるうち、この人と一緒に生きていきたいと思わせるタイプの話で好きです。あの人は私のことどう思ってるのかな? 好きなのかな? みたいなつまんないウジウジが一切ない所も大変いいです。テウタは"相手が何を望んでいるのかは考えてもわからない、だから私が相手にしてあげたいことをする"と考えているし、伝えたいことがあればきちんと対話する。そしてヒーロー達も大事なことはきちんととテウタに話してくれるので対話不足によるすれ違いがなく、お前らちゃんと話せえよというストレスがないのも良いです。

真相ルートに関しては、最初読んだ時「ここにきて怒濤の新事実が判明しても何も言えん」という気持ちになってしまった。嫌いじゃないけど、救いがないというか、後味が悪いというか。ただ、あの事件がなければ主人公はアダムとプロムに行ってアダムと付き合ったりしたんだろうな……と思わせるところは結構好き。幼なじみへの叶わなかった恋が性癖なので。万が一ファンディスクなど発売されたとしても、アダムルートは作らないで欲しい。

キャラ萌え

テウタ(主人公)

めちゃくちゃ好きな主人公でした。明るくて思いやりがあって感情表現が豊かな部分は純粋に可愛くて、そして賢いところがいいと思います。察しが良いというか、プレイヤーが気づいたことに彼女も気づいてくれるので。プレイヤーからは独立した人格を持っていても、プレイヤーと同じくらい賢くいてくれると感情移入しやすいんだと思う。近藤唯さんの声もとてもあっているし、テウタの天真爛漫さが声から伝わってくるのがとてもよい。

リンボ

悪徳弁護士と言われているけれど、結局は正義のヒーローになりたかった人なのだと思う。ただリンボは、みんなのためのヒーローではなく、自分のために勝手に人助けをする悪人を選んだだけで。強いお姉ちゃんに頭が上がらない弟として育った反動で可愛いフリフリの水着が好きなのいい……。KENNさんは地声が幼めで可愛い声だと思っているんだけどそれがリンボに良く合っていて、リンボが冗談を言ったりする時のトーンが特に気に入っている。

リンボの弾くピアノにあわせて主人公が鼻歌を歌うシーンは、主人公声ありゲーとして最高のシチュエーションだと思います。バッドエンドではテウタの鼻歌を思い出しながらリンボ一人で鼻歌を歌う部分もあって心が痛くなりました。ステラワース特典冊子に掲載されているバッドエンド後の物語も、よくもまあこんな苦しい展開を! って感心するくらいなのでまだ読んでない人は読んでみて欲しいです。ステラセット再販してるらしいので。

シュウ

初対面だとちょっと冷たいというか怖いけれど、共通パートを進めている間に優しさとか頼りになるところがわかってきた人。スケアクロウが話を聞いて欲しそうにしているとき一番最初に話しかけてあげたのがシュウだったりで、そういうところ優しいんだよなあ……。シュウは殺し屋として過去何人も殺人をしているのだけれど、人を殺すのはいつまでも怖い、という所がぐっとくる。一匹狼みたいだけれど本当は狼の振りをした羊のようだと思った。細谷佳正さんの演技はものすごく自然で、うまくいえないんだけど、シュウならこういう喋りするだろうな~っていうのが自然に受け止められるというか。

ヘルベチカ

自分の見た目がいいのも女にモテるのも知ってる、頭の良いインスタ女子みたいな男。普段は論理的なことを言っているし女相手に軽薄な態度を取っているけど、個別ルートでは攻略キャラの中で一番感情的で身内には情が深いところが見えてくるので面白かった。やや早口の敬語口調が独特なのでヘルベチカの会話はついつい聞きかえしていた。吉野裕行さんのこのタイプの演技は初めて聴いたような気がするけれどめっちゃいい。

モズ

死に関する事柄について感覚が人とずれているので最初は面食らったけれど、感情表現は薄いけれど感情が薄い訳じゃないし、人のこともよく見ていて気遣いが出来るので、関わっているうちにこの人いいな……ってなってくる。ルート外でも主人公のことを気遣ってくれたりるので好感度がめっちゃ上がった。シュウルートでテウタ不在時にシュウをからかうシーンがあって、男同士の友達じゃないとこんな話できないだろ~と盛り上がっている中で"僕にとってはテウタも友達だから気が引ける"というようなことを言っていたのもいい……。恋愛関係になると結構男っぽいところを見せてくるのでそれもいい。
ヘルベチカルートで敵と対峙したときの「テウタ、危険だから、僕の後ろにいて。いい? 相手は銃を持ってる。銃を持ってるんだ」や、その後主人公に銃を渡すときの「これ、持ってて。いい? 重いから、しっかり持って。危険だと思ったら、引き金を引いていい」のような、こういうときの言葉がものすごくお兄ちゃんっぽくて素敵。声は基本的に淡々としている口調だけど心情が伝わってくるので福山潤さんの演技がすごい。

スケアクロウ

同年代の友達みたいな気安さで接してくれるのと、主人公に一目惚れして最初から親切に女の子扱いしてくれるのがいい。裏社会のボスを自称しているのは格好つけだし、付き合ってからはエエカッコシイな所もあるのが、等身大の男の子って感じで可愛かった。白井悠介さんの女慣れしてなさそうな演技もたまらん。

グラフィック

キャラクターグラフィックが素晴らしいのは公式サイトのGALLERYページの通りなんだけれど、通常立ち絵も表情差分が豊かで普通の会話シーンでもこの表情好きだな~と思うことが多かった。イベントCGはリンボのバッドエンドのCGが好き。絶望、悲しみ、憎しみ、と色々なパターンの表情があって、子どもみたいな顔の泣き顔の表現もすごかった。背景描写も綺麗だし、食べ物の画像がどれも美味しそうでプレイ中お腹がすごく減りました。

音楽

タイトル曲の「BUSTAFELLOWS」やエンディングBGMの「Beautiful evil within you」が好き。「Beautiful evil within you」の途中で「BUSTAFELLOWS」のメロディがエレキギターで流れてくると、ああ~1ルートクリアしちゃったんだ~と条件反射的に感慨深い気持ちになる。日常曲の「The fixers」「Scarecrow's estate」も耳馴染みが良くて好き。サントラCDが初回限定版に封入されているのも有り難い。SEが細かくて、自動車の停車時にサイドブレーキを引くSEが入っているの結構好き。

ボイス

私は乙女ゲームのボイスをめちゃくちゃ重視しているのだけどマジで文句の付け所がない。各キャラのボイスの感想はキャラ感想の部分に書いたとおり。 

システム

グラフィック面での見せ方が細かくて、例えば主人公が携帯電話のパスコードを入力する場面が一度だけあるんだけど、そのシーンのために暗証番号の入力画面が作ってあったりした。車の走行中に背景が動いていたり、LINE風のチャット画面の演出なんかも上手かった。
ノベルゲーム部分(文章を読み進める機能)の方はやや不便さがあったけれど、2度のバージョンアップパッチ配布によってだいぶ改善された。特にジャンプスキップ動作の改善はかなり便利になるのでプレイする前にアップデートした方がよい。ただ、バージョンアップ後も選択肢表示中にセーブできないのだけど、これは技術的な問題で実装されていないのではなく、何らかの意図で実装していないのだろうか?理由はわからないけど単純に不便なのでセーブさせて欲しい。
あと、ボイスのバランスが悪いというか、キャラによって声が大きかったり小さかったりまちまちだった印象がある。システム設定でキャラごとのボイス音量も設定できるのだけど、最初からボイス音量は一定にしておいて……。

総括

感想の文章量からお察しでしょうが、とても楽しく、色々考えながら遊べたゲームでした。乙女ゲーム(男女の恋愛描写)が好きな人は問答無用でプレイして欲しい。私はSwitch版をプレイしたけれど、AndroidiPhoneでもプレイできるのでぜひ!

公式サイト

joqrextend.co.jp

商品紹介

BUSTAFELLOWS(バスタフェロウズ) - Switch

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